みんなのイゴコチ会議

Vol.06

ライゾマティクス 齋藤精一さん
インタビュー 前編

第6回のうみけんは、スマートフォンで東京タワーの照明をコントロールするau 主催の参加型イベント「FULL CONTROL TOKYO」や「1964 TOKYO VR」、「六本木アートナイト」、「MEDIA AMBITION TOKYO」を仕掛けるクリエイター集団「ライゾマティクス」を率いる齋藤精一さんにお話しを伺ってきました。

UMIKENとは?

TOKYO海辺研究所、略してUMIKENは、
「東京の海辺をイゴコチのいい場所にしたい!」
という想いのもと活動する
日の出ふ頭プロジェクトによる連載コンテンツ。

ーまずはライゾマティクス、そして齋藤さんの仕事について聞かせてください。

「新しいことをやる、おもしろいことをやるという精神。」

ライゾマは今13期目を迎えていて、もともとプロダクションと言われていた時代から、ヒエラルキーを疑っていく感じだったんです。広告にしても、なんのために広告をつくってるのかとか、大人の事情があまり好きじゃなくて。法律もそうだし、条例もそうだし、会社的にこれが好きとか嫌いとか、そんなの消費者や街に住んでる人からするとどうでもいい話じゃないですか。
結局、僕も仕事をするときに、なぜやっちゃいけないことがあるのかっていうのを思っていて、法律、条例、地権者の意見、近隣の話とか制約がたくさんある。でも、実は、そんなものも、やってみると意外にほどけるものがたくさんあるって分かったんですね。
実はものづくりって、一番やっちゃいけないのは無関心なことなんです。直らないだろうと思って、デザインを放棄しちゃうと、結局何もできないので。街づくりに関してもそうですよね。

「海外で仕事をしていると、自分から発信しないと始まらない。」

何かをはっきり言わないと変わらないと思ったのは、アメリカに住んで仕事をしていたからかも知れません。海外で仕事していると、人のことなんて本当にどうでもよくなるんですよ。日本だと忖度とかあるように、人のことを鑑みちゃいます。でも、アメリカでは、自分から積極的に発信しないと、人が見てくれないので。そういう意味では、日本人の感覚と、海外の感覚をもって、ハイブリッドに仕事をしているのかもしれないですね。

「時代の変化によっても、僕たちの出番が増えている。」

最近、特に世間の考え方や感覚も変わってきて、いろいろなものを認めてくれるようになりましたよね。特に、僕みたいな若造の意見を目上の人が聞いてくれたり。どの業界もそうですけど、今までの方程式が通用しなくなってきたというのは、だんだんみんな分かってきて、それに対する回答を広く、いろいろな世代や分野の話を聞いてみようってなったのかなと思います。現在、ドバイ万博の仕事もやっているんですけど、そこでも感じたのは、日本って、これまで街づくりに関しても模倣することが多かったんです。最初はフランスのパリ、ロンドン、アメリカなんかを真似をして、街をつくってきた歴史があります。でも、逆にいま、海外の人たちは、日本の街づくりとかビジネスモデルとかに非常に興味を持っているんです。そういう意味では、これからは日本も世界を牽引していく立場になってくるんですね。そういう時代の変化もあって、僕なんかの出番も増えているんじゃないかと思います。

ーそれでは齋藤さんが考える海辺と都市についてお聞かせ願えますか?

「都市は働く場所。海は、きもちよく暮らす場所。」

僕にとって、海はただ見ているだけで豊かになる存在です。ある意味サザンオールスターズ世代なんで、単純に、海のあるところに住みたいとか、海沿いをバイクで走りたいとかいう憧れもあるんですね。それと、海に入るというオプションがあるかないかは、結構重要だと思います。僕も夏になるとサップをやっているので、海水浴も公園に行くのと同じくらいの感覚で行くんですね。昼飯も昔ながらの海の家で食べて、ローカルの人と同じように朝行って10時くらいにあがることもあります。東京でも、そういう海との付き合い方はやろうと思ったらできるんですよね、絶対。都心の海でも海水浴場になれるくらいきれいになり始めて、磯遊びができたり、人工のビーチがあったりすると、東京でも海の価値は上がると思うんです。
ただ僕の場合は、都心は働く所で、住むなら葉山がいいですけどね(笑)。

「都心の海はどうあるべきか。まずは、海との関係性を近くすること。」

では、都心の海をどう変えていけば良いのかというと、まずは関係性を近くした方がいいですね。今回のプロジェクトでも、海辺に新しい施設をつくることで、海との関係が近くなります。人間の感覚ってバカにならなくて、人がちゃんと気持ち良さを感じる距離感がすごく大事なんです。
海外では僕が一番好きな場所は、ニューヨークのペイリーパークです。公園の中に滝があるんですよね。摩天楼の間にいながら、マイナスイオンを感じることができるんです。
あと、日本の公園でいうと、横須賀の海風公園もいいですね。米軍基地があって、比較的そういう文化が元々育ってるというのもあるんですが、BMXやスケボーが出来て、今はここからオリンピック選手も出そうなんです。そういうことも、公園が持ってる可能性の面白いことのひとつですね。
日本でもいい公園はたくさんあって、代々木公園はもちろん、羽根木公園という公園のプレーパークは、世界でも注目されている取り組みがおこなわれています。幼少期はできるだけ自由に遊ばせるという教育的な観点から見ると、東京の中で本当に頑張っている公園です。

ニューヨーク/ペイリーパーク
世田谷区/羽根木公園

国際的に活躍する齋藤さんならではの考え方や、
これからの日本のあり方、海との関わりから、
国内外のステキな公園の話まで、
興味深いお話しをたくさん聞くことが出来ました!
後編では海辺の話を中心にもっと伺います!!

齋藤精一
ライゾマティクス 代表取締役社長

1975年神奈川県生まれ。東京理科大学工学部建築学科卒業。コロンビア大学建築学科で建築デザインを学び、2000年からニューヨークで活動を開始。その後Arnell Groupにてクリエイティブとして活動し、2003年の越後妻有トリエンナーレでアーティストに選出されたのをきっかけに帰国。フリーランスのクリエイティブとして活躍後、2006年にライゾマティクスを設立。建築で培ったロジカルな思考を基に、アート、コマーシャルの領域で立体、インタラクティブの作品を多数作り続けている。2009~2014年国内外の広告賞にて多数受賞。2013年D&AD Digital Design部門審査員、2014年カンヌライオンズBranded Content and Entertainment部門審査員。現在、東京理科大学理工学部建築学科、京都精華大学デザイン学科非常勤講師

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